糸-ito-

マル勝髙田商店が伝えたい、そうめんのこと、私たちのこと

2022.4.20

そうめんにまつわる〇×△

日本人ならだれもが知っているそうめん。
けれども、そんな定番商品ほど、よくよく考えてみれば分からないこと、あるいは思い込みや勘違いが潜んでいたりするもの。
「そうめんにまつわる〇×△」は、私たち一般人の疑問をそうめんのプロたるマル勝髙田商店の皆さんにうかがって解明する企画です。
(記事:「糸」編集部O)

第2回 GIマークって何?

突然ですが、皆さんは「GIマーク」をご存知でしょうか?
マル勝髙田商店の商品パッケージにも表示されている赤と白のマーク、「夕張メロン」や「神戸ビーフ」で目にしたことがある!という方もいらっしゃるかもしれませんね。

GIとはGeographical Indication(=地理的表示)の略称。
では「地理的表示」とは何かというと、「"○○(地名)"牛」のように一見して産地がわかり、かつ、その地の社会的評価も担っている名称のこと。
例えば「神戸ビーフ」と聞くと、産地が神戸だとわかるだけでなく「神戸を代表する特産品なんだな」って思いませんか?
それだけに、その品質の善し悪しは土地に対する印象にも影響を与えかねませんよね。

つまり、このマークがついている産品は農林水産省が土地に良い影響を与えると認めた、「国からお墨付きを与えられた地域ブランド品」というわけなんです。

「三輪そうめん」は12番目の登録産品。
今回はこのGIマークについて、マル勝の広報さんに話を伺いました。

なぜ、このマークが必要?

「特産品」とはその名の通り、産地と強く結びついていますよね。
たとえば三輪そうめんは、冬の気温が低く乾燥した日の多い奈良県三輪地方の気候がそうめん作りに適していることから発展したもので、手延べ製法によりコシの強さなどの特徴があります。

「○○牛」や「○○みかん」など、日本には各地にその地を代表する農林水産物・特産品が存在します。
そういった「地域ブランド品」を守るために始まったのが「地理的表示保護制度」なんです。

海外の取り組みを参考に日本でも法制化

地域ブランドを保護する取り組みは、海外では日本より早くから積極的に行われているそうです。
たとえばフランスのノルマンディー産カマンベールチーズや、イタリアのパルマ産生ハム、英国スコットランド地方の鮭などは国が認めた地域ブランドで、その名称の使用には厳格なルールがあるのだとか。
日本では平成26年(2014年)に、「特定農林水産物の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)が成立。評価の確立した「産地+産品名」は知的財産として保護されることになり、農林水産大臣の許可を受けた産品はGIマークを表示できるようになりました。
つまり、GIマークの付いた商品は、れっきとした本物の地域ブランドであると国に保証されたものだということ。
ですから当然、認可されていない商品がこのマークを表示したり、地域ブランド名を使用すると罰則が科せられます。

乾麺業界では初の登録!

広報さんによると、三輪そうめんがGIマークの認可を受けたのは平成28年(2016年)、乾麺業界では初めての登録だったそうです。
マル勝髙田商店も参加する三輪素麺販売協議会と奈良県三輪素麺工業協同組合の二団体が共同で登録申請して許可を得たのだとか。そうめん発祥の地・三輪をあげてのマーク取得だったのですね。

こうして国からも地域の名産品として認められた三輪そうめんですが、権利が保護されるメリットと同時に、評価された品質を守り続ける責任が生じたとも言えます。
いっそう気を引き締めなければ、という広報さんの目にはプロのプライドが感じられました。

農水省のホームページによると、GIマークの登録産品は令和4年(2022年)3月現在116点。先述した「神戸ビーフ」や「夕張メロン」をはじめ、「下関ふく」「特選松阪牛」「越前がに」「山形ラ・フランス」「種子島安納芋」などがあります。
海外の産品も登録されており、ベトナムの「ルックガン・ライチ」、イタリアの「プロシュット・ディ・パルマ」などがありました。

地域の特産品であることを証明するGIマーク。ただ、筆者も知らなかったように一般的な認知度は決して未だ高くはありません。
地域ブランドとは単純に自然が育んだ産物ではなく、そこに連綿と続いてきた歴史や文化も含め育まれてきたもの。今後もこのマークを見かけた際には、家族や友人にもアピールしていきたいと思います!