糸-ito-

マル勝髙田商店が伝えたい、そうめんのこと、私たちのこと

2022.4.6

そうめんにまつわる〇×△

日本人ならだれもが知っているそうめん。
けれども、そんな定番商品ほど、よくよく考えてみれば分からないこと、あるいは思い込みや勘違いが潜んでいたりするもの。
「そうめんにまつわる〇×△」は、私たち一般人の疑問をそうめんのプロたるマル勝髙田商店のスタッフにうかがって解明する企画です。
(記事:「糸」編集部O)

第1回 そうめんに色付き麺が入っているのはなぜ?

さて、「そうめんにまつわる〇✕△」第1回のテーマは、筆者が子どもの頃から温めてきたコレです。
白い麺束の中に、1~2本だけ赤や緑の麺を見かけることってありますよね?
筆者は子供の頃、「色違いのレアそうめん!」なんて、誰よりも先にゲットしようと必死になった記憶があります。
そんな色付き麺は一体なぜ存在しているのか、総務部のHさんに質問してみました!

「実は誰も答えを知らないんですよ」

なんと、色付き麺が存在する理由は業界内でもこれといった正解がないのだとか。さらに、Hさんの口からショッキングな事実が明らかに。

「色付き麺が入っているのは、そうめんじゃないんです。冷や麦なんですよ」

そうめんと冷や麦の違いは麺の太さ。そうめんよりも冷や麦のほうがやや太いそうです。
幼い筆者が色違いのレアだと思って必死になって求めたものは、そもそもそうめんですらなかった…?

気になってる人多いでしょ!と気合と思い出を込めたネタが、めんつゆに浸した薬味ショウガのごとく崩壊。打ちひしがれる筆者を見かねたHさんが、「あくまで、私の推測ですが…」と語ってくださいました。

仮説その1 「食卓を華やかにするため」

冷や麦が楽しまれる「夏」は、食欲が減退しやすい季節。でも、薄紅や若葉といった、みずみずしい色の麺は気分まで明るくしてくれますよね。夏バテしていてもつるっとおなかに入ってしまいそう。
一本一本の色付き麺には、「食事を楽しく」「食欲を少しでも取り戻せるように」という、そうめん職人さんの願いが込められているのかもしれません。

仮説その2 「冷や麦とそうめんを区別するため」

そして、Hさんはもうひとつの可能性を教えてくれました。

「見た目で区別するといった実用的な側面もあるかもしれませんね」。

なるほど、束の中に色付き麺が入っているのは冷や麦なので、それを知っていれば一目でそうめんと区別できるわけです。
でも、ちょっと待って。そうめんと冷や麦を間違えそうな場面ってどこだろう。店頭なら袋に「そうめん」「冷や麦」って書いてあるだろうし、ならばまだ袋詰めされていない工場の中?あっ、調理されて食卓に並べられたときにこの法則(オーバー)を知っていたら分かりやすいかも。さっそく友だちに自慢しよう。
かつて素麺や冷麦が店頭で量り売りされていた時代、パッと見て同じ白い麺の素麺と冷麦を区別するために色麺を入れたという説があるんです。

以上のように、色付き麺には、そうめん作りに携わる人たちの粋な心づかいと知恵が練りこまれているように思えます(きっとそう)。そんな工夫に思いを馳せると、また違った味わいが楽しめるのではないでしょうか。

では、また!