糸-ito-

マル勝髙田商店が伝えたい、そうめんのこと、私たちのこと

2022.10.10

三輪だより

第1回 地域との取り組み

そうめん製造は、土地柄が大きく関係しています。
三輪そうめんの場合は、盆地特有の気候はもとより、1200年余りの歴史を持つそうめん発祥の地であることから、そうめん製造者は地域(桜井市)と一体となった取り組みを行っています。三輪そうめんが「地域ブランド」として認められ「GIマーク」を取得したのもその一環です。
たとえば、皆さんは「三輪そうめん条例」をご存知でしょうか?

2017年に制定された「三輪そうめん条例」

正式な名称は「三輪そうめん普及促進条例」といい、桜井市議会によって可決されたものです。地域伝統の味の三輪そうめんを食べる習慣を広め、地域経済の活性化にもつなげようという趣旨で発案され、全会一致で可決されました。
この条例の中で、市は三輪そうめん普及に必要な措置を講じ、事業者は市や他の事業者と相互に協力し、市民もまたそれらの取り組みに協力するよう努めるとされています。まさに、桜井市全体で手を取り合って三輪そうめんを盛り上げようというもの。
このような条例は、あるということ自体が話題を提供することになります。平成29年7月7日、「素麺の日」に施行されたこの条例は、当時の関西ローカル局のニュース番組で取り上げられ、多くの視聴者に「そうめん発祥の地・桜井市」をあらためて強く印象付けました。桜井市もまた、PR用ののぼりやポスターなどのグッズを制作して希望者に貸し出すなど、全面的にバックアップの体制をとっています。

コロナ禍のもとでの「平安無事キャンペーン」

多くの大都市で非常事態宣言が発出され、多くの国民が楽しみを奪われたコロナ禍の2021年。当社も参加する三輪素麺振興会は桜井市と力を合わせ、三輪素麺のブランド再構築のプロジェクトをスタートさせました。
その狙いは、三輪そうめんの歴史や魅力をアピールすることで「三輪そうめん」と「桜井市」のブランド力をともに向上させ、三輪そうめんの販売ならびに桜井市観光に好影響を与えることにあります。
その一環として、2021年に「平安無事を祈ってそうめんを贈ろう」というキャンペーンを実施しました。そうめんはもともと健康食であり毒消しの効能があると信じられたことから、親しい人の無病息災を願ってお中元に贈られるようになったいわれがあります。
いわば、コロナ禍においてこれほどぴったりの贈り物はありません。振興会は「平安無事を、贈ります」のしおりを大神神社でご祈祷していただき、進物用のパッケージに同封されました。

ただ「美味しい」というだけでない、さまざまな物語を持つ三輪そうめん。製造者や地域が一体となった取り組みによって、その魅力はより多くの人々に届くはずです。