第1回 そうめんのニオイ問題、
解決したのは「オリーブオイル」でした
手延べそうめん特有の臭いの正体は?
手延べそうめんの袋を開封して、ツンとした臭いを感じたことはないでしょうか。
「それが手延べそうめんの味わいだ」と感じる方がいらっしゃれば、「これ大丈夫なの?」と心配する方もいらっしゃり、一時期、そうめんの臭いに関する質問や苦情が多く寄せられていたことがありました。
最初に臭いの原因ではないかと考えたのは、油です。
そうめんに油と言うと、意外に思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。
手延べそうめんは、熟成を重ねて何度も引き延ばすことによってコシの強い、のどごしの良い麺ができあがります。この、麺を引き延ばしていく工程で表面に油を薄く塗付します。これが麺の急激な乾燥を防ぐ他、麺同士の付着を防いだり、空気に触れることなくそうめんを熟成させる効果もあるのです。
しかし、臭いの原因が油という決め手なる証拠は得られませんでした。
以後も臭いの正体を突き止めるために私たちはさまざまな調査を行いましたが、根本的な原因は判らずじまい。そうめんの含水率を下げるなどの対策を講じましたが、解決には至りませんでした。
判明しない臭いの原因、偶然得た最適解は「オリーブオイル」
そんなある時、私たちはひょんなことからこの問題を解決することになります。
それは、仕入れ業者さんから「トランス脂肪酸」対策としてオリーブオイルを勧められたことでした。
昨今テレビの健康情報番組でも耳にすることが多くなったトランス脂肪酸という言葉。
これは善玉コレステロールを減らして悪玉コレステロールを増やすため、健康への悪影響が懸念されています。この成分は天然・加工を問わずさまざまな食品に含まれていますが、実はオリーブオイルには「一切」含まれません。
オリーブオイルの主成分はオレイン酸です。オレイン酸は善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールだけを減らしてくれる優れもの。とても健康に良い食用油なのです。
このような理由から、トランス脂肪酸対策として、そうめんの製造工程で塗布する油にオリーブオイルを採用したところ、商品を開封したときの臭いが発生しないことがわかりました。もともとオリーブオイルは香りが後に残らず、三輪そうめんの魅力である小麦本来の香りを邪魔しませんが、だからと言って臭い問題までも解決できるとは思ってもみませんでした。
いかにも「日本」を感じさせるそうめんにイタリア料理の調味料が使われているなんて、言われなければ分かりませんよね。
次にそうめんを食べるときは、地中海の風をイメージしてみてください。
なんて、ちょっと無理がありますか?